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薬師如来ってどんな仏像?

如来さまの世界で、阿弥陀如来と並んでポピュラーなのが、薬師如来です。薬師如来とはどんな仏像なのでしょう。ご利益や、出会える場所、薬師如来と関係の深いある果物のことなど、ご紹介していきます!

今をしあわせにしてくれるお医者さま

「薬師」とは「薬」の「先生(師)」と書きます。漢字から推測できるその名の通り、お薬にとても精通しているお医者さんのような方です。特に、私たちが「今生きている世界」で抱える病気を治してくれる方だと言われています。

大事なのは、「今生きている世界」ということ。これを「現世利益(げんせりやく/げんぜりやく)」といいます。

病というのは、頭が痛いとか足が怪我しちゃったなどの体の病だけではなく、もやもやするなぁとかうまくいかないなぁというような心の病、それからもっと大きな国の病までも治してくださるといわれています。

いろんな病気を治してくれるお薬師さま。日本各地には特別この病に効く!といい伝えられているお薬師さまも多くいらっしゃいます。特に有名なのは、「眼病平癒(がんびょうへいゆ)」といって、目の病気を治してくれるお薬師さまのところには、たくさんの方がお参りされています。

目印は、手に持っている壺!

お薬師さまには、他の如来さまとはちがうとーっても見分けやすい特徴があります。それは、左手に持った壺。「薬壺(やっこ)」といって、薬の壺なのです。 薬壺の中には、私たちの病気を治すためのお薬がたくさん入っていて、どれだけ使っても決して枯れることがない、魔法のお薬だそうです。

山口県にある周防国分寺(すおうこくぶんじ)では、ご本尊のお薬師さまの薬壺のふたが開いて、中からたくさんの薬草が出てきました。お薬師さまは本当にお薬を持っていたんだ!と教えてくれた、私の大好きな仏さまのひとりです。

薬壺を持っていないこともある

薬壺を持っているので見分けがつきやすいのが嬉しいポイントなのですが、実は薬壺を持っていないお薬師さまもいらっしゃいます。持っていない理由は主にふたつ。ひとつは、古い時代に作られた薬師如来さまということ。奈良時代など、古い時代に作られた薬師如来には、薬壺がありません。時代が過ぎていく中で、より分かりやすくするために、薬壺を持つようになったのです。

もうひとつは、長い年月の中で無くなってしまった場合。薬壺のようなパーツは大抵、仏像とは別に作られて、あとからくっつけていることが多いので、とても取れやすいのです。残念ながら歴史の中で消失してしまうことも少なくありません。時には盗まれてしまうこともあったり…。そういう場合は、他の如来さまと見分けがつきづらくなってしまいます。

薬師如来が住んでいる場所

東方瑠璃光浄土(とうほうるりこうじょうど)といいます。 お薬師さまが住んでいるのは、東の果ての果ての方。反対の西の果てには阿弥陀さまが住んでいる極楽浄土があります。

瑠璃(るり)というのは、宝石のラピスラズリのこと。お薬師さまが住んでいる浄土には、大地一面にこのラピスラズリが敷き詰められて、キラキラと輝いているそうです。(見てみたい!)

チベット仏教の曼荼羅などでは、お薬師さまは体中真っ青に描かれることが多いので、勝手ながらお薬師さまのイメージカラーは「青!」だと思っています。

朝日が昇る方向にはお薬師さまがいて、夕日が沈む方向には阿弥陀さまがいらっしゃる。そんな風に対照的に覚えてしまうと、楽しいですね!

薬師如来に会えるのは…

その仏像のキーワードを知っておくと、会いたい仏像に出会える確率が高くなったり、地図をみたり地名をみて、どんな仏像にゆかりがある場所なのかが想像できたりします。ここでは、お薬師さまのキーワードを3つご紹介しましょう。

1.薬師

これは当たり前ですね。笑 奈良には「薬師寺」「新薬師寺」というとても有名なお寺がありますが、いずれも薬師如来さまがご本尊です。

他にも、「○○薬師寺」というように、薬師寺の前に地域の名前やゆかりのある人やモノの名前がつくこともあります。

2.瑠璃(るり)・瑠璃光(るりこう)

お寺の名前などで「瑠璃」や「瑠璃光」と付いているのは、上でもお話しましたが、お薬師さまの住んでいる世界「瑠璃光浄土」からきています。このお寺は、お薬師さまがいらっしゃる場所だよ、ということですね。

3. 国分寺

ちょっと意外かもしれませんが、「国分寺」という名前がついているお寺でも、薬師如来に出会える確率がとても高いです。国分寺というのは、その昔、もともと日本を良くしようと作られたお寺で、「国の病」を治すため(またはそれを分かりやすく表すため)に、薬師如来さまをご本尊にされているからです。

日本には、「○○国分寺」という名前のついたお寺がたくさんあるので、色々巡ってみると楽しいですよ。

実はお薬師さまと深い関わりのある、あのおいしい果物!

お薬師さまのアイコンとして見かけることがあるのは、なんと「ぶどう」。私たちの生活でもワインに含まれるポリフェノールが体に良いといわれたりしますよね。古くから、ぶどうは薬として親しまれてきた食べ物なんですね。インドに伝わるアーユルヴェーダではぶどうを発酵させたものをお薬として飲んでいたりします。古くから、ぶどう=薬なのですね。

では、どのようにお薬師さまとぶどうが関係していくかというと、薬師如来の光背や台座などに、ぶどうの葉っぱが描かれていることがあります。

ワインで有名なあの地域には、ぶどう薬師なる仏像も!?

ワインで有名な場所といえば、山梨県勝沼市。実は、勝沼には古くから「ぶどう薬師」という名前で親しまれているお薬師さまがいらっしゃいます。ご本尊のお薬師さまは、秘仏なので数年に一度しか会えませんが、薬壺の かわりに果物のぶどうそのままを持っていたといわれています。現在は無くなってしまったので、手は空ですが、お前立ちご本尊は手にぶどうを持っていますよ。

まとめ

  • 薬師如来は、今生きている世界を救ってくれる仏さま。=現世利益
  • 目印は、手に持った薬壺(やっこ)という壺。
  • 薬師如来が住んでいるのは、東方瑠璃光浄土。
  • 薬師、瑠璃、瑠璃光、国分寺という名前を見たら、会えるチャンス大!
  • ぶどうは古くから薬だったので、薬師如来とも関係が深い

では、今日はここまで。
あなたに、より素敵な仏像との出会いがありますように!