「なむあみだぶつ」という言葉は、みなさんよく聞いたことがあるかと思います。なんまんだーなんまんだーというのは、「南無阿弥陀仏」という阿弥陀さまへのご挨拶のことばです。それくらい日本ではとってもポピュラーな阿弥陀如来、一体どんな仏像なのでしょう。ゆかりがある意外なものまでご紹介していきます!
どんな人でも極楽へ!合言葉は「なむあみだぶつ」
阿弥陀如来は、私たちが死んだあとに極楽に連れて行ってくださるという仏さまです。極楽、というのは阿弥陀さまが住んでいる世界のこと。私も行ったことはありませんが、まるで天国のような(?)素敵な場所らしいです。
阿弥陀さまがスゴいのは、生きている間にどんなに悪いことをした人でも救ってくれるということ!とーっても心が広いのです。どんなに気をつけていても、生きているとどうしても「悪いこと」っていっぱいしてしまっています。例えば、蚊をパチンと潰しちゃったり、悪気なく誰かを傷つけてしまったり、動物や植物の命をいただくこともそうですね。
そんな小さな悪いことだけでなく、仮に法を犯すような悪いことをしてしまった人であったとしても、阿弥陀さまは救ってくださるといいます。でも、それにはひとつ条件があるのです。それは、「心を込めて阿弥陀さまのお名前を呼ぶこと」。それさえできれば、どんな人でも阿弥陀さまが住む極楽の世界へと連れて行ってくださるのです。う〜ん、やさしい。
阿弥陀さまのお名前の呼び方、それがあの「南無阿弥陀仏」という馴染みのある言葉です。これを心を込めて3回唱えましょう。きっと、あなたも極楽浄土に連れて行ってもらえるはず!
阿弥陀如来が住んでいる世界は極楽!
阿弥陀如来が住んでいる世界は、西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)といいます。「浄土」というのは、仏さまが住んでいる世界のこと。それぞれの如来さまは、それぞれの浄土に住んでいて、阿弥陀さまは「極楽」という名前が付いた浄土に住んでいるのです。
温泉などで「極楽湯」という名前が付いていたり、「極楽」という単語は普段から聞き馴染みがありますよね。お風呂に入って「あぁ気持ちいい!極楽〜!」なんていう風に言ったり(聞いたり?)もしますが、これは「あぁ気持ちい!まるで阿弥陀さまが住んでいる世界にいるような気持ちよさ!」と言っているのと同じなんです。
夕日が沈む方角、西の果ての、さらに果ての方にある阿弥陀さまの世界。一度は覗いてみたいなぁ。
お迎えの方法は9種類
続いては、阿弥陀さまがどんな風に私たちを極楽浄土へ連れて行ってくれるかについて、お話しましょう。西の果ての方に住んでいらっしゃるので、お迎えに時間がかかってしまいそうですが、阿弥陀さまは筋斗雲のような雲に乗って迎えにきてくれます。そのお迎えのことを、来迎(らいごう)といいます。 阿弥陀さまのお迎えの様子を表した絵(仏画/ぶつが)もたくさんあって、それは「来迎図」と呼ばれます。
さて、阿弥陀さまの来迎の方法は、全部で9つあるといわれています。
上の上、上の中、上の下。
中の上、中の中、中の下。
下の上、下の中、下の下。
こう見ると、なんともシビアな感じ!自分がどれになるのか、ドキドキしてしまいますよね。私たちがどんな来迎になるかは、自分が生きている間にした行いで決められるといわれています。ドキッ!でも大丈夫、連れて行ってもらえる先はみんな一緒、同じ極楽の世界に行けます。ちがうのは、お迎えの方法だけ。
上の場合には、とても豪華。阿弥陀さまを中心に両脇に観音菩薩さまと勢至菩薩さま、そしてその周りには雲中供養菩薩という楽器隊のようなたくさんの菩薩さまを引き連れてとても賑やかです。そして、下の方に近づいていくと、阿弥陀さまが来なくなってきたり、だんだんと質素になっていきます。
この来迎の様子は、いろんなお寺のご本尊や仏画で目にすることができます。中でも最も有名なのは、10円玉の裏にもなっている平等院鳳凰堂というお寺です。ご本尊の阿弥陀如来さまはもちろん、建物やお庭など、お寺全体で来迎と極楽の様子を表しているのです。
阿弥陀如来に出会えるキーワード3つ
その仏像のキーワードを知っておくと、会いたい仏像に出会える確率が高くなったり、地図をみたり地名をみて、どんな仏像にゆかりがある場所なのかが想像できたりします。ここでは、阿弥陀さまのキーワードを3つご紹介しましょう。
1. 極楽
上でもご紹介した通り、「極楽浄土」というのは、阿弥陀さまの住んでいる世界の名前。お寺や地域の名前に「極楽」と付いている場合には、阿弥陀さまに出会えるチャンス大です!
2. 浄土
「浄土」という言葉は、仏さま(如来)が住む世界のことなので、本来はそれだけで阿弥陀さまを限定して表すわけではありません。でも一般的に「浄土」というと、阿弥陀さまへの信仰を表すことがほとんどです。
例えば、「浄土宗」「浄土真宗」という宗派がありますが、それはどちらも阿弥陀如来をご本尊としています。「なむあみだぶつ」が合言葉ですよ。
3. 来迎
「来迎」は、私たちが亡くなったときに阿弥陀さまがお迎えにきてくださること。この言葉を使うのは、阿弥陀さまだけ。なので、「来迎寺」「来迎院」という名前を見かけたら、きっと阿弥陀さまと出会えるはずです。
阿弥陀如来ファミリーの仏像は?
それぞれの仏像には、まるで家族のように仲間がいます。多くの場合には、如来さまを中心として、脇侍(わきじ/きょうじ)といわれる菩薩さまおふたり、その周りに天部の誰か…といったような感じです。では、阿弥陀如来ファミリーをご紹介します。
観音菩薩(かんのんぼさつ)
観音菩薩は、日本でとても人気のある仏像のひとり。ひとりでお祀りされることもとても多いのですが、実は阿弥陀如来グループの一員なのです。「阿弥陀三尊」というフォーメーションになるときには、阿弥陀さまの横に並び、反対には勢至菩薩さまがいらっしゃいます。
よーく観音さまを見てみると、頭にのせた宝冠に小さな阿弥陀如来像がいらっしゃるのがわかります。いつでも「私は阿弥陀さまのお使いですよ」と知らせてくれているのですね。
勢至菩薩(せいしぼさつ)
観音さまの反対側にいる勢至菩薩。勢至さまは、ほとんどおひとりで祀られることはなく、阿弥陀三尊のときに登場されることが多いです。頭にのせた宝冠には、水瓶といわれる花瓶のようなかたちの器を持っているのが目印です。
観音さまはメジャーですが、もうひとり誰だっけ…?と忘れられがちな勢至さま。「観音、勢至」とセットで覚えてしまいましょう!笑
まとめ
- 阿弥陀如来は、死後の世界に私たちを極楽浄土に連れて行ってくれる仏像
- なむあみだぶつ、と心を込めて3回唱えれば、どんなに悪いことをした人でも極楽に連れて行ってくれる
- 来迎というお迎えの方法は、全部で9種類
- 観音菩薩、勢至菩薩と並ぶと、阿弥陀三尊になる
では、今日はここまで!
あなたにもっとステキな仏像との出会いがありますように…!